木綿栽培の広く普及した江戸後期から化学染料が欧州から伝わった明治初期ま

で、日本の暮らしの布は木綿藍染でした。江戸時代から暮らしの中に生き続けた

日本の布を「筒描」「絣・型染め」「襤褸」と体系だって集めたコレクションは大変に

稀で、そこに寶水堂コレクションの意義があり、藍の布を通じて日本の貴重な生活

文化を残そうとした父の並々ならぬ熱意を感じます。寡黙であったその父も平成十

六年に亡くなり、長女である私がその布たちを引き継ぎました。

本年の夏には、小田原城ミューゼで開催された『文様に込められた想い藍

染筒描とガラスの出会い展』に出展の機会を頂き、寶水堂コレクションが広く皆様

の目に触れる第一歩を歩み出しました。暮らしの中から生まれ、大切にされた布

たち。願いや祈りが込められた意匠には、民芸品としての美しさを超えた感動があ

ると、感嘆の声をお寄せ頂きました。これまであまり人の目に触れることのなかっ

た布たちですが、人々の心を動かさずにはおかない力を持っているようです。

これから父のコレクションを大切に守り、少しでも多くの方に見

ていただき、日本の手仕事、日本の心を次の世代や、広く海外

にも伝えていきたいと願っています。


寶水堂コレクションについて              藍の記憶
                                 
  創樹社美術出版 2008年2月「小さな蕾」掲載文より         中国新聞 朝刊文化面
                                      緑地帯 8回連載

                           

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